生きていくうえで大切な何かを学ぶ 『塩狩峠:三浦 綾子』 を読んだ。


『悪しき者に抵抗うな。人もし汝の右の頬を打たば、左をも向けよ。
汝を訴えて下着を取らんとする者には、上着をも取らせよ。』



「塩狩峠」を読んだ。
噂どおりの良書。

塩狩峠 (新潮文庫)
塩狩峠 (新潮文庫)
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三浦 綾子
新潮社
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キリスト教色は確かに強いけど、
宗教に対する先入観をすてて、聖書の教えを手軽に学べると考えれば
別に、無宗教の人間でもすんなり読めると思う。

著者が実話から感銘を受け、
実話を盛り込み、制作されたフィクション作品なので、
フィクションとは言えリアリティがある。
便宜的にキリスト教の信者が出てきすぎな気はするけど・・・。



小さいころは、日本人のこころを叩き込まれ、
大人になり、信仰心を強く持ち、そして人のために犠牲になった主人公。
その生き方の一つ一つに心打たれるものがある。

印象に残ったのは、主人公の父親の教え。
自分自身、そして他人の信念を貫こうと考えていた
人間の考えには感銘をうける。

主人公が他人を差別するような発言をすると、
福沢諭吉のこのフレーズを用いて激しく叱った。
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「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。」
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意外とこれ忘れちゃうことだんだよなぁ。

そして、自分の考えをうまく伝えられないもどかしさを
感じていた主人公に、話したこのフレーズ。
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「信夫。自分の心を、全部思ったとおりにあらわしたり、文に書いたりすることは、
大人になってもむずかしいことだよ。
しかし、口に出す以上相手にわかってもらうように話をしなければならないだろうな。
わかってもらおうとする努力、勇気、それからもう一つたいせつなものがある。何だと思う?」
「さあ」
信夫は首をかしげた。
「誠だよ。誠
の心が言葉ににじみでて、顔にあらわれて人に通ずるんだね」
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努力、勇気、誠がコミュニケーションにおいては大切なことだと。
本当だよなぁ。

主人公の父親の話すメッセージは、
一つ一つが心に響く。
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「約束を破るのは、犬猫に劣るものだよ。犬や猫は約束などしないから、破りようもない。人間よりかしこいようなものだ」
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「自分を偉いと思う人間に、偉い人はいないのですよ」
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「信夫は、特に人間として生まれたということを、大事に心に受け止めて、真の人間になるために、格別の努力を為されたい。」
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そして、主人公。
父親や祖母などから、教育をうけ誠実な人間に育った主人公は、
足の不自由な友人の妹に恋をする。
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人間にとって一番大事なものは,体だと思うんですか。
ぼくはそうは思いません、ぼくには体よりも心のほうが大事です。
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一所懸命考えたことが必ずしもその人間の本音とは限らないし、
突然思い立ったからと言って、
それが軽薄とも嘘とも言えないのじゃないだろうか。
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だれにも知られない、奥深い心の中でこそ、
ほんとうに罪というものが育つのではないだろうか
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主人公の行動がまじめで、愚直で、すばらしい。

そして主人公の愛した彼女は、キリスト教の信者であり、
彼女自身も病床の身でありながらも深い考えを持つ。
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お先祖様を大事にするということは、お仏壇の前で手を合わせることだけではないと思うの。
お先祖様がみて喜んでくださるような毎日を送ることができたら、
それがほんとうのお先祖様への供養だと思うの
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このような人物たちが繰り広げるストーリーの中に、
生きるうえで大切なメッセージのようなものが
入り込んでいるように思う。

読み終わったあとに、
自分はどんな風に生きたいんだろう
っとふと思った。

そして、
聖書の中から引用されたさまざまなフレーズ。
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義人なし、一人だになし。
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一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん
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いいこといってるなぁと思う。

最初に引用したこのフレーズはとくにグっときた。
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『悪しき者に抵抗うな。人もし汝の右の頬を打たば、左をも向けよ。
汝を訴えて下着を取らんとする者には、上着をも取らせよ。』
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自分にとって不条理なことがあって、
いやだと思っても、それを受け入れられる度量。
それってすごい大切なことだと思う。

自分自身、反抗したくなるときは多々ある。
でも、それを受け入れて、左のほほを差し出すことが
できる度量が必要なんだろうなぁ。


正直、想像以上にキリスト教のことが書かれていて、
嫌悪感は読んでいてあったけど、
読み終わって振り返ってみると、
いいこと書いてあったなぁって思う。

そんな本でした。

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