予想できないストーリー「向日葵の咲かない夏」

自分がやったことを、全部そのまま受け入れて生きていける人なんていない。
どこにもいない。
失敗をぜんぶ後悔したり、取り返しのつかないことを全部取り返そうとしたり、
そんなことやってたら生きていけっこない。だからみんな物語をつくるんだ。
昨日はこんなことをした、今日はこんなことをしてるって思い込んで生きている。
見たくないところは見ないようにして、見たいところはしっかり憶え込んで。

「向日葵の咲かない夏」を読んだ。

前々から、評判は聞いていて、
買っていながらずっと読んでいなかった。

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
道尾 秀介
新潮社
売り上げランキング: 6293

読んでみて、
評判どおりのすごい作品だと思った。

小説を読むとき、物語を読み進めるにつれて、
自分の中に仮説が出来上がる

こんなことがあったから、こうなる。
こういう理由から、犯人はこれじゃないか。
とか。

小説を読むとき、
その仮説を立てるステップだったり、
その仮説が検証されていくステップだったりが、
自分の中で面白さに変わる。

でもこの小説は、その仮説をただの思い込みにすぎない、
陳腐な考えのひとつにしてしまう。

自分は、ロジカルに仮説を立てていく、
でも、結末は、ラテラルに作られている。

実際自分の考えたことが読んでいて、
どんどん塗り替えられることになる。
えっ、こうきたの?こんなのアリなの? みたいな。

この感覚がまた楽しい。
自分自身の思い込みがいかに強いかを実感した。

今まで感じていたことがまったく変わる感覚、
読んでいて、ぞくぞくした。

そんな小説だった気がする。

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